複業人の魅力を探る
インタビュー

~これからの働き方、生き方Vol.1 スマイルズ代表 遠山正道~

2017年4月に「Smiles.come(スマイルズドットカム)」としてスタートし、7月に「業務外業務」にサービス名を変更したこのサービス。「業務外業務」というサービス名の名づけ親はスマイルズの遠山正道。そもそもサービスが生まれた背景やこれからの働き方・生き方について、今考えていることを語ってもらいました。

業務外のプロジェクトから生まれた「業務外業務」

Q.「業務外業務」が生まれた経緯を教えてください。

2016年、スマイルズとして初めて「エイプリルフール企画」をやってみたんです。
Soup Stock Tokyoなど日々店舗でいろんなお客様とのコミュニケーションがありますが、もう一歩先の関係性づくりみたいなことができないかと思い、「エイプリルフールから問いかけてみようよ!」と言ってみたところ、クリエイティブチームの社員たちが有志で集まり考えて出てきたアイデアが「4月1日の贈り物」という企画で。

結果、スマイルズになにかしら共感してくださっている方々がたくさん応募してくださったんですね。
私が「一日社員」をやったり、「手品」をしたり、半年以上かけて当選者のみなさんへいろんな贈り物を実施したんですが、皆さんにとても喜んでいただけて、そのこと自身がまず楽しかったんです。

「100本のスプーン」で手品披露

「日本フィンランドデザイン協会」にて一日社員

そこから、またその有志チームが2017年のエイプリルフール企画をどうしようかと考えていた中で、このサービスの種(アイデア)が生まれ、私も含めみんなで水を与えて、芽が出始めたという感じで「業務外業務」が誕生しました。今思えば、妄想的に有志からはじまったエイプリルフール企画そのものがまさに“業務外業務”ですね。

 

共感というコミュニティから生まれる″何か“

―100歳まで生きる時代に、一つのリスクは″固定“。もっと軽やかに″人生の試し打ち”を。

エイプリルフール企画の体験と並行して考えていたのは、100歳まで生きる時代において、私ですらこれから50年働かないといけない。自分で自分の食いぶちも稼がないといけないし、社会保障もなくなる中で生きがいや日々の悦びとか、コミュニティとか自ら見出し、作らないといけない時代になってきていると思うんですね。

その時に、一つのリスクは固定。

ずっと一つの会社にいると、物理的に狭い範囲とか思考的に狭い環境の中で過ごすことになり、生き方を探ることに慣れないままに、生き方のわからない中年になっていってしまう。
もっと若いうちから、一人一人が軽やかに、自分の生き方、興味とか人とのコミュニケーションのようなものを、多面的に試してみる、そんな「人生の試し打ち」ができる場として「業務外業務」を捉えています。

2016年のエイプリルフール企画に応募してくださった方々もある種の共感の″コミュニティ”と言えるかもしれないけど、最近、そういった″コミュニティ“が気になっています。従来のコミュニティという閉ざされた関係性だけではなく緩やかなものも含めて、「業務外業務」を通じてそれぞれの複業人に興味をもってくれた人は、何かしらスマイルズに関心を抱いてくれている人だから、そういう人との関係性から何かが生まれてくるのはすごく楽しい。実際、エイプリルフール企画で出会った方が新たに始める事業に、スマイルズとして出資することになったりもしていて、それって想定していたことではないからこそ面白い。

エイプリルフール企画の贈り物の一つだった、「遠山正道と語り明かす会」で出会ったみなさんと、「also Soup Stock Tokyo」で再会。エイプリルフール企画に参加した感想を、スマイルズの社内報そっくりな形でレポートしてくださいました。

 

―行き先が見えないからこそ面白い

Q.始まったばかりですが、「業務外業務」にどんなことを期待しますか?

このサービス(行為)自身、まだ始めたばかりで行き先が見えていない。だからこそ面白いしやりがいがあります。仕事の中や外においていくつかの接点をもつことで、自分でも気づかなかった新しい道に気づくことってあると思うんです。「これがやりたい!」というものが見つかって、やりたいことを仕事にし、働くことと生きることが重なっていくこともあるだろうし、むしろやりたいことがいくつあっていろんな顔を持つことでより人生を彩ることだってあると思う。生き方は人それぞれ多様であっていいし、その多様性や可能性を拡げるきっかけに「業務外業務」がなっていったらいいなと期待しています。例えば、やりたいことが思いついていきなり脱サラするのはハードルが高すぎるけど、「業務外業務」で試し打ちしてみる、なんてこともできますね。

納品書にサインをする遠山正道。

 

― 編集後記 ―

スタートラインに立ったばかりの「業務外業務」。建築家・永山祐子さんや森岡書店店主・森岡督行さんなどさまざまなジャンルで活躍されている方々が「業務外業務」のサービスに共感し、複業人として参加してくださっています。このサービスそのものが“共感というコミュニティ”を形成する一助を担えれば、今後さらに増えていく複業人同士のコラボレーションなど、このサービスの中でまた新たな価値を生み出すことも可能かもしれません。エイプリルフールから生まれた「業務外業務」、そして「業務外業務」から生まれる新たなプロジェクト、そんな妄想も広がるインタビューとなりました。